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ひとりの青年との出会いから


証し#12 執筆担当:油木桃子(事務局長)


先日出会ったひとりの青年についてお分かちします。日曜日、いつものように電車を乗り継いで教会へ向かう途中、私はある人に声をかけられました。その人は見た目KGK世代、多く見積もっても20代半ばに見える男性でしたが、彼から出てきたのは思いがけない言葉でした。「すみません。野宿生活をしているのですが、食べるものがないので、寄付をしてもらえませんか?」


通いなれた駅のホームでの言葉に驚いてしまい、最初は「ごめんなさい」と言って通り過ぎることが精一杯でした。しかし、その後もその青年が道行く人にお金を求める声を聞きながら、私は少し前の大阪滞在時に訪問した釜ヶ崎の光景を思い起こしました。野宿生活をする多くの方々。一緒に出掛けた友人と「イエス様が地上に来られたら、 まずここを訪問されるに違いないね」と語り合ったことを思い出しつつ、「お金を渡すことが解決になるのか。何ができうるのか」と、電車が近付く中で逡巡しました。そして思い切って彼のところに戻り、「お金はあげられないけど、良かったらどうぞ」と、昼食用に用意していたパンを渡しました。彼はしっかりと私の目を見ながら、「ああ、ありがとうございます。助かります」と言ってそれを受け取りました。


その後、私は電車に乗りながら、ひたすら悲しく、心が痛んで涙しました。どんな事情が青年にあったのかは分かりませんが、事情がなければ人にお金を求めることはないはずです。仕事を失ったのか、家に戻れない背景があるのか…。ふだん関わる学生たちと同じ世代に見えたことや、コロナ禍によって生活に困窮する学生のいる現実が私の悲しみを深くしたように思います。そして車中ですがるようにして聖書を手に取り、開いた箇所はダニエル書12章1節でした。


「国が始まって以来その時まで、かつてなかったほどの苦難の時が来る。しかしその時、あなたの民で、あの書に記されている者はみな救われる。」(ダニエル書12:1・新改訳2017)


出会った青年の救いのために祈りつつ、自分の目の前にいる人を愛することについて深く探られる経験でした。


アドベントの季節、続けて学生たちや次世代の若者を覚えてお祈りください。

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